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2010年12月 7日 (火)

「熊森」騒動

「日本のクマを絶滅させないための緊急声明 」(日本熊森協会)

1-1人道上、生態系保全上、冬ごもり前の食い込み用食料を求めて人里に出てきたクマを殺してはならない。

1-2.クマが人里に出てこなくてもいいように、これまでクマの生息地を壊し続けてきた人間側としては、クマたちに食料を提供しなければならない。

2 早急に、クマを種の保存法上の希少種に指定し、狩猟と有害捕獲を原則禁止し、環境大臣の監視下に置くこと。

3 生息地の復元・森再生を早急に行う。人工林の間伐のために50万人を緊急雇用すること。

4 今年、猛スピードで広がったナラ枯れの原因究明と対策を国が行うべきである。

5 現在残っているクマたちの生息地である原生的な森をこれ以上開発しないように、法規制をかけるべきである。

(生物多様性条約第10回締約国会議開催都市名古屋での「くまもり生物多様性シンポジウム」にて)

日本熊森協会」による、緊急声明全文。
もうねぇ、読んでて脱力感一杯な主張ではあります。

>1-1人道上、生態系保全上、冬ごもり前の食い込み用食料を求めて人里に出てきたクマを殺してはならない。

「生態系保全上」ってねぇ、仮に「餌が不足した」のが原因で人里に出て来たのならば、それは単に山の生産力を越える固体数って事なんですがね。
私の知り得る限りで言うと、山小屋の周囲は昨年の秋はミズナラが異常とも思えるほどの豊作だった。つまり今年の春には相当数の仔熊が生まれた可能性が高い訳で、個体数過剰と言っても良いのでは?
そして「人里に出てきたクマを殺してはならない」って、何様のつもりなんですかね。「日本熊森協会(以下、”熊森”と略す)」ってのは、関西に本部を置いているので「クマ」はツキノワグマを指しているとの前提だが、「人里に降りて来る」って事は、人間の生活と衝突するという事。クマにとってはじゃれついただけでも、人間は大怪我するって事を判っているのだろうか。

>1-2.クマが人里に出てこなくてもいいように、これまでクマの生息地を壊し続けてきた人間側としては、クマたちに
>食料を提供しなければならない。

「これまでクマの生息地を壊し続けてきた人間側としては」これもおかしな話しだ。確かに1960年代から80年代までは、様々な開発行為が林野を壊して来たのは事実だ。しかしながら燃料として薪炭に頼っていた時代の方が、現代以上に山野は荒廃していたのに、ツキノワグマは絶滅していない。
ましてや「食料を提供」していなかったのにだ。むしろ集落の付近ほど、薪炭として利用されてハゲ山に近かったので、それが緩衝帯としてクマ等の野生獣を遠ざけていたと考えられる。
更に言えば、食料の提供が必要以上にクマの個体数を殖やし、人里へ降りて来るクマを増やす事になる。

>2 早急に、クマを種の保存法上の希少種に指定し、狩猟と有害捕獲を原則禁止し、
>環境大臣の監視下に置くこと。

”希少種”である理由が不明。まずもって「確からしい」生息数すら、把握されていないのが事実。
「多いのか少ないのか」すら不明な段階で、希少種に指定するのは無理がある。又、中山間部の人口が急速に現象している現状を目の当たりにすれば、耕作放棄地の拡大こそが野生獣増加の一因である事は明らか。

>3 生息地の復元・森再生を早急に行う。人工林の間伐のために50万人を緊急雇用すること。

意味無し。まぁ、人工林の間伐で雇用を産み出す事には意義はあるが、50万人の素人を投入して効果があるとは思えない。徴兵された素人兵隊の役目は「弾よけ」程度にしかならない。
だいたいなぁ、整備されたスキー場ですら斜度30度つったら上級者コースなんだぞ。んな斜面では素人は立っているのが精一杯だってのが、判らないからこんなおとぼけが言えるのか。(笑)
一般に人が手がかり無く活動出来る限界勾配は七寸勾配(70%勾配)と言われているが、これはある程度の訓練を受けた職能人の限界。ホビーレベルで慣れている場合で五寸(50%)だな。全く経験が無い場合では三寸(30%)が精一杯。
実際、条件さえ良ければ70度でもバランスを保てる私が、軽量チェンソー(35ccクラス)を扱える限界は、30度(五寸勾配に相当)なんだから。
あと2でも触れたが、耕作放棄地の拡大やら薪炭燃料需要の減少から、広葉樹林は拡大傾向にあるという現実がある。

>4 今年、猛スピードで広がったナラ枯れの原因究明と対策を国が行うべきである。

これも意味無し。まずナラ枯れは国内の生態系が潜在力として持っていた、ナラ類が世代交替するためのメカニズムだから。高度経済成長に入った1950年代半ばから、家庭用熱源が薪炭からガス・石油に置き換わっていき、ナラ類の利用が減って行った為に、ナラ類の世代交代が促進されず古木が増えて、カシナガの繁殖条件が整っただけ。
原因は明確、対策はナラの古木を伐採すればよい。問題は地権者が不明な山林が増大している事。

>5 現在残っているクマたちの生息地である原生的な森をこれ以上開発しないように、
>法規制をかけるべきである。

「クマたちの生息地である原生的な森をこれ以上開発しないように」って、現実が見えて無い。
まずもって、日本国内に「原生的な森」なんて残って無いんだが。もっとも熊森が定義する「原生的な森」と私が考える定義との違いはあるだろうけどね。
ただ、無節操な開発行為は80年代の土地バブルが崩壊してからは、儲からないって事でなされていないんだよね。で、バブルが弾けて30年近くが経つので、その頃に芽生えたナラ類の新芽は、生き延びていれば30年生の結構な大木に育っているんだよねぇ。

週末限定とはいえ十年近く定点観察していると、「自然保護」のジョーシキの綻びが見えて来る。
単純な似非科学で解決できるほど、実際の自然は複雑でしたたかな物なんだ。

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